火の力を持つ国王様は愛も熱い
ふと目が覚めると、落ちてから時間が経っているのか話してた時はチラチラしか降っていなかった雪が吹雪になっていた。
小さな山とはいえ滑落して、しかも吹雪になっていると方向感覚が全くなくなる。
辺りも暗くなっていた。
寒い……どうしよう、このままじゃ凍えちゃう……。
何処か吹雪を凌げる場所探さなくちゃ…。
「痛っ!」
立ち上がろうとすると体を打ち付けた時に右足を怪我したみたいで、立ち上がれなかった。
私、ここで死んじゃうのかな…?
やだ……まだエドと一緒にいたいのに。
学校もお城での生活もすごく好きなのにエドの事が真っ先に頭の中を過ぎって…もう会えないのかと思うと涙が溢れてくる。
涙が溢れて来るのに……寝ちゃだめなのに…すごく寒いのにも関わらず眠くなってきた。
意識が………
「エマっ!!おい!!寝ちゃ駄目だ!起きろ!」
「……ふ……え?」
一瞬意識が飛んだ時、エドの声がして体を抱きかかえられる。
「エド……?どうして?」
「話はあとだ!この先に山小屋があるからそこまで行くぞ?」
「駄目……ごめんなさい……足が」
「怪我してるんだな?手は?掴めるか?」
「……うん…手は大丈夫…寒い……」
「それなら大丈夫。俺が連れて行くから絶対寝るなよ?ほら、掴まれ」
エドにおぶられて少し歩いた先にエドが言った通り山小屋があって、入り口で私を降ろすと鍵が掛かっていたドアをこじ開けて、私を抱き上げて中に入るとドアを閉めた。
「あと少し待ってろ?部屋暖めるからな」
部屋の暖炉の前で降ろされて、エドは暖炉に近くにあった薪を置いて手袋を外すと片手を暖炉に向けると火を着けた。
エド……何でも出来て……助けてくれたし、格好良いなぁ。