火の力を持つ国王様は愛も熱い
アヴァンカルド王国のお城へ入ると、逞しく男らしい見た目からして頼りがいのありそうな国王様とアクアと印象がそっくりなとても美しいお后様が出迎えてくださった。
お二人はアクアとアリス同様に気さくで、ライマーレ王国の私でも関係なく暖かく迎え入れてくれた。
「ルーナっ!ルーナのお部屋案内するねっ!後で一緒に街にお買い物行かない?お夕食までに戻ればいいって!」
「ありがとう、是非…」
私の為に用意して頂いた部屋へ案内してもらおうとするの、不意にアクアと目が合う。
するとアクアはあの美しいお顔で微笑んでくれる…
ドキッ……
うわぁ……意識したらダメ…。
あわよくばアヴァンカルド王国の王族の方と…っていう使命だけど、アクアは第一王子だし、あのビジュアルだし、ハードル高過ぎ。
でも……ヤバい、下手したら好きになっちゃいそうだ。
私は頭をフルフルと振って気を入れ直す。
「ここがルーナのお部屋だよー!家具とか気に入らなかったらすぐ言ってね!すぐに変えるから!」
「ええぇ!?ここの部屋私が使ってもいいの!?」
案内された部屋は、家具は見るからに豪華だし、広い寝室の他に専用のトイレや浴室にクローゼットルームも付いている。
「そんな驚くー?ライマーレ王国のルーナのお部屋だったらもっと広いでしょ?」
お城は昔からのお城だから確かに部屋は無駄に広いけど、その部屋に見合った家具とかはなくてこんな豪華ではない。
「広さは…そうね、でも私は妹と同室だったから」
「そうなんだ!きっと妹ちゃんお姉様と一緒のお部屋で心強いだろうなぁ」
「心強いかぁ…」
私がいなくなるから一人部屋になって喜んでたけど…
「私、小さい頃から一人部屋だから今でも一人で寝るの寂しい時あるもん!それでね、お父様とお母様は一緒のお部屋だからいつもズルいって思ってたんだ」
「えぇ!御夫婦仲良いんだ!いいなぁ」
「もうね、特にお父様がお母様にゾッコンなの!私とアクアが小さい頃にお母様に甘えるのにすっごく邪魔だったんだから」
「ふふっ!エマ様すっごく美しいから気持ちわかるかも」
後から私の私物も運んで貰えるみたいで私はアリスと街に行く事になった。
「そうだ、アクアのコートじゃ可愛くないし街で新しいコート買おう?」
「あとで洗って返さなくちゃ」
「そんな気遣わなくてもいいよー!帰る時邪魔になっちゃうし、置いていこう?私と手繋いでたら寒くないし」
「そうなの?確かにアリスの手暖かいけど」
「私、学力の成績はあんまり良くないけど力の調整には自信あるんだぁ」
アクアのコートを脱いでアリスと手を繋ぐとアリスの手がさっきよりも暖かくなってそこから私の体まで暖かくなった。
「暖かいでしょ?暑くなったら言ってね!」
「すごい…!ストーブに当たってるみたいに暖かい!」
「アクアは学力の成績良いけど、力使うのは下手だからちょっと自慢なんだ♪」
だから手冷たかったのかな?
エントランスへ向かう途中アクアはエントランス付近で小さい男の子二人の遊び相手をしていた。
「あー!雷のお姫様だー!」
「こんにちは…えっと」
ここの国はビジュアルに長けてるのか、小さい男の子は二人とも美少年でキラキラしている。
二人とも美少年だけど、アクアとは少し違う系統だ。
「二人ともご挨拶はどうしたのー?」
アリスがそう言うと二人は慌てて並んだ。
「ローガン・アヴァンカルドです!5歳です」
「レオ……にしゃい…」
「ご挨拶ありがとう、ルーナ・ライマーレです」
「この二人はお父様の弟のローレンス叔父さんの子立ちだよ。俺達の従兄弟」
「そうなんだぁ、二人とも可愛い」
「二人街行くんだろ?俺も一緒に行っていい?」
「ダメー!ローガンとレオも連れて行かなくちゃいけないでしょ!女子だけで行くのー!はい!これ、ルーナに貸してたコート」
アリスはそう言ってアクアにコートを渡した。