火の力を持つ国王様は愛も熱い
「えぇ…俺も行きたかったのに」
「僕もー!」
「レオ君もー!」
「絶対ダメー!ルーナのコート買うんだもん、みんないたらゆっくり選べないでしょ」
「そうか、そしたら今日は諦めるか。ルーナ、また次の時は一緒に行こうな」
「うん…さっきはコートありがとね」
そう言うとアクアが微笑んでくれてまた心臓がドキッとしてしまう。
アリスとお城を後にして街へと向かう。
「街行く時護衛はいなくても大丈夫?」
「うん!街も治安良いし、うちの国護衛の代わりに配置兵の方を強化してるから平気なんだぁ、昔はついてたけどね」
「そうなんだ」
うちの国の街は治安が悪くて女の子一人ではとても歩けない。
街に着くと、中央には大きな聖火が灯っていて街中は活気に溢れている。
アヴァンカルド王国は本当に豊かな国なんだなぁ…
連れていってもらった仕立て屋さんは王族御用達のお店のようで、デザインが豊富で素敵な商品が揃っているけど値札がついていなくてどれにするか悩んでいるフリをしながらどうしようか考える。
コートは必要品だし、買ってしまっても大丈夫かな…?あとでお金追加で送ってもらって。
わずかなお金しか持たせてもらってないのに、国にお金が無いことを悟られない様にって無茶だよ。
「ルーナ!このコート可愛いくない?」
「本当、可愛い!こんな可愛いデザインのうちの国にないから嬉しい!」
ベージュで首周りと裾にぽんぽんのついた可愛いデザインのコートだ。
肌触りもすごく良い…
「アリス姫様、ご機嫌麗しゅう」
「ご機嫌よう!こちら、ライマーレ王国のお姫様のルーナよ!このコート、お友達のルーナに似合うと思わない?」
「左様でございますか、ルーナ様アヴァンカルド王国へようこそお越しくださました。とてもお似合いです!こちら裏側にセーブルを使用していてとても暖かいので気に入って頂けるかと」
「セーブル!?え?こんな可愛いデザインのコートにセーブル使われているのですか!?」
ライマーレではないけれど、セーブルは超がつく程の高級な毛皮だという知識だけはある。
王族だしこのくらい普通に買わないとおかしいけど…
アリスは私にこれを着せたくて仕方ない顔をしている。
「アリス…ごめんなさい、うちのお父様の方針であまり贅沢品にお金出してもらえないの…だからその…言いにくいんだけど」
「えっ!?ルーナはお金出さなくていいんだよ?うちで持つから値段の事は気にしなくても大丈夫だよ」
「そういう訳には…」
「だって、ライマーレ王国の大事なお姫様を預からせて頂いてるんだよ?生活に必要な物は全部うちが持つよー!ほら、着てみて!絶対似合うから!」
アリスはそう言って私にコートを着せてくれて、仕立て屋さんはサイズの確認をする。
少し袖が短いけど、現品で構わないのにすごいVIP対応してくれる。