火の力を持つ国王様は愛も熱い


お城に着くと私達はそれぞれ晩餐会に参加する準備をする。


晩餐会用のドレスに着替える時お手伝いに使用人を利用出来るらしいけど、断った。


うちの国でそんな事に使用人使えないもんなぁ。夜もみんな交代で働かないといけないし…



つくづく祖先が水の国を攻めなければこんな差も生まれなかったと恨んでしまう。


持ってきた数少ないドレスに着替えて部屋を出ると、廊下でアクアが立っていて私に気が付くとこちらにやって来る。


ただ立ってるだけで美しいってズルくない…?


「あ、ルーナ」

「アクア…アクアもダイニング行くところ?」

「うん、エスコートしようと思ってルーナの事待ってたんだ」

「そうだったの?ありがとう…ダイニングの場所曖昧にしか覚えてなかったから嬉しい」

こうやって気が利いて優しいから…そうだよね…

アクアにエスコートしてもらってダイニングへ向かうと、王族関係者が多く来ていて私のお父様とお母様も来ていてアクアに伝えるとすぐに挨拶をしてくれる。

「まぁ!こんなにも美しく立派な王子様がいらっしゃるなんてアヴァンカルド王国は将来も安泰ですわね」

「いえ、そんな…勿体ないお言葉です」

「まだ結婚候補決まってなければ是非うちの娘も候補にしてやってくれ」

「お父様!止めて!アクア様に失礼ですよ!」


お父様…願望ダダ漏れ過ぎて周りにそれ狙いだと思われたら厄介なのに。


「そう言って頂けて光栄です」


アクアは動揺する事なく、社交辞令で返す。


「アクア…お父様が失礼なこと言ってごめんね」

お父様とお母様と別れたタイミングで急いでアクアに小さい声でそう言った。

「そんな事ないよ、俺達は年頃の男女なんだから今後そうなる可能性も充分あると思うけど」

「えっ…」

パッとアクアを見ると目が合ってアクアは微笑んだ。

恐るべし…これが…天然たらし…

「ルーナっ」

アリスがやって来て後ろから私の腕に抱き着いた。

アリスの方を見ると、隣りに強面顔でガタイの良い男性が立っている。

アリスが護衛兵の方を連れて歩く事あるんだ。街にも連れて行かなかったのに…

護衛兵の方に眉間にシワを寄せて少し睨まれる。ちょっと怖いけど…護衛兵ってこうじゃないと意味ないもんね。

すると、アリスは背伸びをして護衛兵の方の眉間を指で押した。

「ジョシュ!また怖い顔になってるー!ルーナ、驚かせてごめんね!緊張してるとこういう顔するの!紹介するね、さっき話したジョシュアだよー」

アリスはそう言うとジョシュアさんの腕にはギュッと抱き着いた。

「え…ええっ!?あっ!お初にお目に掛かります!ライマーレ王国のルーナ・ライマーレです」

私は急いでスカートを摘んでお辞儀をした。

勝手にイメージしてた人と全然違ってビックリした…

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