火の力を持つ国王様は愛も熱い
エドが一緒に居てくれたおかげで眠る事が出来て、朝になると吹雪も止んでいた。
乾かしていた服もしっかり乾いていて、私とエドは山小屋を出る準備をした。
山小屋の外に出るとエドは私をおぶってくれる。
「エド……私、頑張って歩くよ…大変だもん」
「大変じゃない、エマは軽いから余裕だ」
ただでさえ歩くのが難しい雪道をエドは私を背負ってお城へと向かった。
お城へと向かっていると、馬で捜索をしてくれていたお城の兵士の人達と合流して私達は無事にお城へと辿り着く事が出来た。
怒られる覚悟だったけど、使用人のみんなは私の帰りを待っていてくれたみたいで帰ってきた事を喜んでくれて、モニカお姉さんは泣きながら抱き締めてくれた。
そして、私の事を押したヴァルもみんなと一緒にいた。
「エマ……エマっ…ごめんなさい!俺、強く押すつもりじゃなくてっ…それに後ろすぐ崩れるって知らなくて…ふぇっ…」
「ううんっ…わざとじゃないの分かってるもん…わっ」
ヴァルは泣きながら私に抱き着いてきた。
「ヴァルはお家に帰らないでずっとエマちゃんの事待ってたんだよね」
「そうだったんだぁ…心配掛けちゃってごめんね」
私は泣いてるヴァルの頭を撫でた。
すると、後ろからエドの声が聞こえる。
「おい!エマに抱き着くな、お前はもういいから帰れ」
エドはそう言って私からヴァルを引き離した。
「どうしてヴァルは駄目なの?」
「男だからだ!お前、エマの事好きだろ!だから駄目だ!」
「は…はっ…好きじゃないし!王子だからって偉そうにすんな!それにもし俺がエマの事好きでも王子に関係ないだろ!」
ヴァルはまたいつもの調子に戻って大声でそう言うと走って出ていった。