火の力を持つ国王様は愛も熱い
周りをよく見ると木々で覆われて見えなくなっているけど、レンガや瓦礫が隙間から見えていて昔ここに町があったように見える。
水の国はどんな国だったんだろう…?
その時突然ザッと風が吹いて少し先にあった茨で覆われた少し背の高い物?が目に入った。
何だろう?
近付いてよく見ると何か女神像のような物が茨で覆われている様に見える。
そして像の立っている周りには丸い囲いがあり、噴水のようだった。
アヴァンカルド王国の城下町の聖火の様な存在なのだろうか。
今はすっかり荒れ果てているけれど、きっと美しい国だったんだろうな…
興味本位で像に絡んだ外せそうな茨を外すと女神様が瓶を逆さに持っている像があった。
そして茨が栓になっていたみたいで瓶からはポタポタと水が垂れてきた。
「エマ。帰るぞ。この辺りは茨だらけだ、怪我するかもしれないからあまり触るな」
エドワード王様が来て私の腕を引いた。
「すみません…水が出てきたので…」
「この辺りは水の国があったんだ。水の国の王族はこの噴水の地下に水脈を作り、そこに水の力で水を貯めていたらしい。恐らくその水脈に少し水が残っているんだろう…井戸はほとんど枯れているからここもほとんどないからな」
「国王様、予定の時刻過ぎております」
「あぁ、わかってる。エマ、行くぞ」
「はい……」
あ……私も同行してるから普段よりも道中時間が掛かって時間押してるんだ。
エドワード王様も、護衛の二人も鍛えられているので道中もっと早く歩けるはずだ。足の遅い私に合わせて歩いてくれていた。
視察先でも何もお役に立てていない。
もっと優秀な使用人なら何かしら仕事を与えてもらえたはずだ。
「エドワード王様……申し訳ございません」
「何がだ?」
「お時間押してるの私が原因かと」
「お前はすぐに気を負うんだな」
エドワード王様は呆れたようにそう言った。