火の力を持つ国王様は愛も熱い
「ふわッ……おば様ッ……ごめんなさッ……ふうぅッ……」
玄関にすがりつくけど、おば様に向こう側から玄関のドアをガンッと蹴られる。
「早くどこか行って帰ってくるんじゃないよっ!うちには絶対入れないからそこにいても無駄だよ!」
裸足のまま放り出されて、寒くてお腹が空いて涙ばかり出る。
足元の雪と突き刺すような雪のチラつく夜風にどんどん体温が奪われていく…
とにかく温まりたくて、思い出したのが一度だけ見た事のある城下町の大きな聖火だった。
通りがかりで少ししかいられなかったけどあそこはすごく暖かくて、心地良かった。
もう夜でここの村は真っ暗だけど城下町には明かりが灯っていて、そこを目指して泣きながら一生懸命歩き始めた。
しかし、城下町は裸足で雪の中を歩くと遠くて足もすぐに感覚がなくなってしまって途中で歩けなくなってしまった。
まだ遠いのに…こんなところで動かなくなっちゃった……どうしよう……何か足を覆うものがないと。
その時だ。
後ろからお馬さんが走ってくるのが見えた。
後ろに大きく豪華な馬車を引いていた。
私は最後の力を振り絞って馬車の方に駆け寄ると、感覚がほとんどない足は上手く動いてくれなくて馬車の前で転んでしまう。
すると馬車はすぐに止まった。
「こら!急に近付いたら危ないだろ!子供がこんな夜に何してる!早く帰りなさい!」
馬車を操縦していた男の人に怒鳴られて、おば様に怒鳴られた事が脳裏に過ぎって怖くて声が出なかった。
「……ふぇ…ッ…」
「何を怒鳴っているんだ?」
すると馬車の窓から中にいた人が顔を覗かせた。
「国王陛下…申し訳ございません、村の子供が…すぐ追い払いますので」
「ん?子供?裸足じゃないか!それにそんな寒そうな格好で…ほら、こっちに入りなさい!可哀想に」
すると馬車の扉がすぐに開いて、中からとても優しそうなおじさんが出てきて私を抱き上げて馬車の中に連れて行ってくれた。
馬車の中には綺麗な格好をした男の子がいて私を見てポカンとしている。