火の力を持つ国王様は愛も熱い
ベッドに押し倒される形になってしまうと、エドワード王様はハッとした顔をして私の手をパッと離した。
「悪い……強要するつもりじゃなかったんだが……そんなに俺と寝るの嫌か?」
「へ…そういうわけではっ…」
「……嫌なら正直に答えていいぞ」
「えっとっ…嫌じゃないです!」
「そうか……それなら遠慮しない」
結局ベッドの中で後ろから抱き締められる形になってしまった。
……単純に考えたらまた子供の頃のように大好きなエドワード王様に抱き締められてるなんて嬉しいけど、子供の頃の様にはいかない。
色々と考えているとエドワード王様が口を開いた。
「……寒くないか?」
「はい…エドワード王様も暖かいですし」
「昔から思っていたんだが、エマは体温が低いようだな」
「そうですか…?自分では気付かないのですが…でも、一度も病気で熱があがったりとかもないです」
「俺の体温は夜になると38℃代まで上がり、朝になると薬を飲んでも37℃代までしか下がらない。しかし、エマと寝た日の朝は36℃代まで下がるからよく眠れるんだ」
王族が扱える火の力は体の体温までは影響しないけれど、エドワード王様は特別力が強くそれを抑える為の薬を毎日処方している。
そしてその薬も一部の薬師にしか作る事が出来ず、居所や薬師の詳細は極秘事項になっている。
「そうだったんですか?どうしてですかね…?何度か凍えそうになった事もありますけどそんなに体冷たいでしょうか…?」
「氷の様に冷たいというわけではないけどな……エマの体温が低いのもそうだが……なんと言うか……俺がエマとこうしていたい」
いつもハッキリと物を言うエドワード王様は珍しく言いにくそうにそう言った。
「……あ、分かりました……つまり、やっと私がエドワード王様のお役に立てるのですね」
体質なんだろうけど、それでもエドワード王様の役に立ててそれで求めてもらるのは嬉しかった。
「役に立つとかそういう事じゃなくてだな………まぁいい」
エドワード王様に包まれていると何だか安心感があって、ドキドキしているはずなのにいつの間にか眠ってしまった。