火の力を持つ国王様は愛も熱い
ガサッ…
後ろから物音がしてアル君はパッと捲れていたツタを元に戻して私の前に立って警戒した。
「ん…?アルフレッドか……それにエマも」
「なんだ、ヴァルか…何してんの?家に行くなら早く行けよ!この辺ウロウロしたらいけないんだぞ」
そこにいたのはヴァルだった。
こんなところにヴァルが一人でいるのが何となく違和感があった。
「ごめん、親父探しててさ」
「あのじじいなら多分家にいるよ、また入り口塞いでなかったんだよ!」
「あの……とりあえず先に進んでから話さない?入り口の前で長居しない方が良いかも」
「そうだな!ヴァルも来てじじいにちゃんと注意しろよな!」
「あぁ…わかった」
ヴァルは私達から視線を逸らしながらそう言って着いてきた。
洞窟に入ると、アル君が私の手を掴んだ。
「足元危ないからな!」
「ありがとう……ねぇ?ヴァル…会長の事探してるって言ってたけど何かあったの?」
「いや…その……思い過ごしかもしれないから…」
「さっきからなんだよ!ちゃんと言えよ!俺達は国王様の命に関わる仕事に携わってるんだぞ!かもしれないとかは許さない!何の目的で来たのかはっきり言え!」
アル君はヴァルに向かって怒鳴るようにそう言った。
小さい頃からからお爺さんの仕事を手伝ってきて、大きくなったら製薬の仕事を受け継いで自分がエドワード王様を守るとずっと言っていてこの歳で仕事に対する意識が高く、まだ子供らしい一面もあるけれどしっかりしている。
「そうだよな…ごめん、ちゃんと言うよ。俺、学校卒業する前にエマに求婚しただろ」
「は!?そうなのか!?」
「えっと……うん……でも、それと何の関係があるの?」
「その事親父に相談しててさ…断られたって事で話は終わったんだけど、ここでエマの事見た親父がどうしても俺の嫁に貰いたいって言うようになって…エドワード王様の専属使用人でなくなればって奮起してて…親父、自分の思い通りにする為には手段選ばない事あるから」
「だからってここは関係な……煙の臭いがする…」
「え…?」
アル君はそう言うと手を離して走り出した。
私とヴァルは顔を見合わせて急いで後を追う。