火の力を持つ国王様は愛も熱い



嘘……ヴァルを止める隙もなかった。



「エマっ!!アル!!何があった!?」

「え…エドワード王様……」


洞窟からエドワード王様が勢い良く出てきて私達の方へと駆け寄った。


「国王様っ!近付いては危険です!お下がりください!」


後から来た護衛兵も洞窟から出てきてそう叫んだ。


「エドワード王様っ!ヴァルとじいちゃんが中に!」

「ヴァルと!?」


すると、先程ヴァルが蹴破った扉から黒い人影が見える。
ヴァルとお爺さんだと思うけど、どっちがどっちかまで見えない。


一人が倒れている一人を扉の外に押し出した瞬間家が崩れた。


「あっ…じいちゃん!ヴァル!どっちか出てきた!助けなきゃ!」

「アル!お前は行くな!」


エドワード王様の護衛兵の二人が雪を体に付けて外に押し出された人のところへ行き、二人で持ち上げるとすぐに家から離れた。


洞窟の近くまで運ばれて、私達は急いで駆け寄った。


「じい……ちゃん……」



私は涙を流して膝をつくアル君を抱き締めた。



運ばれたのは大火傷を負ったお爺さんだった。
と、言う事は……ヴァルは……



「まだ息があります!」

「直ちに運び治療にあたります!」

「あぁ、城より城下町に出るのが早い。怪我人の運び出しは俺とラルクで行う、レオンは救援の要請を頼む。アルとエマは俺達の補助をしてくれ」

「はい…アル君、立てる?」


一人の護衛兵はすぐに救援の要請に向かい、エドワード王様は護衛兵と着ている服で手際良く担架を作りお爺さんを担架に乗せて持ち上げ私達は来た道を戻り、お爺さんを城下町まで運んだ。


お爺さんにはすぐに治療が施され、息はあるものの重症だ。



そして、製薬所の焼け跡からヴァル遺体が出てきた。



薬師のお爺さんの重症、ヴァルの死…



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