火の力を持つ国王様は愛も熱い
エドワード王様の薬の事も深刻だ。
薬の引渡しはいつも日にちが決まっていて今回に限っては昨日吹雪だった為、薬が切れた後での処方だった。
お爺さんはお城に移動され、アル君も城に泊まる事となった。
色んな事が一気に起こって私もかなりショックを受けていたけれど、アル君の前では大人の私がしっかりしないといけない。
この夜はアル君が眠るまで傍について励まし続けた。
泣きながら眠るアル君を見ると胸が痛い。
アル君が眠りにつくと、私はそっと部屋を出て急いでエドワード王様の部屋へと向かう。
部屋に入るとエドワード王様はバスローブ姿でデスクで仕事をしていた。
エドワード王様は自分のお体の事もあるはずだけれど、昼間の製薬所の火事の件でお城に戻ってからずっと対応に追われていた。
「エドワード王様……」
「戻ったか。アルの様子はどうだ?」
「お休みになられました……色々あったので疲れが出たのかと思います」
「…そうか。アルには辛い想いさせてしまったな」
「……エドワード王様っ…あの…これからお薬はどうなるのでしょうか?代用出来るお薬などは」
「ない。あの薬が門外不出なのは普通の人間には猛毒で本来であればあの薬の製薬は禁止されているからだ。爺さんがしっかり管理していたお陰で製薬所の火事の煙も有毒な煙にならずに済んで良かったよ」
「あの……エドワード王様は…」
「今の所何ともない。心配するな、エマには望めばこれからも城で働けるようにしてある」
「そんな事心配してません…私はエドワード王様のお体が…」
「今日はもう休もう。火事の対応で疲れた」
エドワード王様は私の言葉を遮ってそう言うと、いつも通りバスローブを脱いでベッドに横になった。