火の力を持つ国王様は愛も熱い
「エマも早く来い」
「…はい」
きっとエドワード王様は体の事で私に心配されたくないのだろう。
エドワード王様の部屋で過ごすようになってから着替えは部屋にあるクローゼットルームを使わせてもらっていた。
クローゼットルームでネグリジェに着替えようとした時だ。
「エマ……嫌で無ければ何も着ずに来てくれないか?………いつもより体が熱くてな……これは王の命令ではない。一人の男としての願いだ。エマの冷たい体を…いや、エマを直接抱いて寝たい」
「え…」
「いつもの様に後ろから抱くからエマの身体は見ないと約束する」
王の命令として無理矢理私を抱く事だって出来るのに、エドワード王様はこんな状況であっても紳士だ。
「……ただ今準備致します」
クローゼットルームに入り、服を脱ぐと急に恥ずかしくなってくる。
エドワード王様にはお風呂で服を脱がされた事だってあるのに…
何も身にまとわず、腕で体を隠しながらそっとクローゼットルームを出るとベッドにいるエドワード王様と一度目が合い、エドワード王様はすぐに顔を背けてこちらを見ない様にしてくれる。
裸のまま部屋の中にいるのが恥ずかしくなり、急いでベッドに入ると、いつもの様にエドワード王様がすぐに後ろから抱き締めてくれる。
やっぱり、エドワード王様のお体はいつもより熱を持っている。
「……エマ、子供の頃の様に手を握っていても良いか?」
「はい……」
エドワード王様に手を握られると、私はその手を握り返した。
詳しくは分からないけれど、エドワード王様は薬がなければ熱が上がり続け、最後には骨までも焼き尽きてしまうと聞いた事がある。
「あの……エドワード王様、薬の代用やストックは本当にないのでしょうか?」
「ない。運も実力のうちと言うだろ、薬がなくては生きていけない体に生まれた時点で俺には運がなかっただけの話だ…こんな強い力持っていたところで今の時代何も役に立たないな」
通常の火の力は火を発生させる程度のものだけど、エドワード王様の火の力は一国を焼き尽くすことの出来るほどの力だ。
力を持つ王族がエドワード王様で無ければライマーレ王国と戦争になっていたかもしれない。