火の力を持つ国王様は愛も熱い
「国王陛下…その子供の家を探してまいります。小さな村なのですぐ見つかるでしょう」
「いや、一度城で保護する。城へ向かえ」
おじさんは馬車の外で何か話していて、馬車の中には私と男の子の2人だけで男の子は私の事をジーッと見ていた。
馬車の中は暖かいけど、私の体は冷えきっていて震えが止まらない。
男の子は私の隣りに座って私の手を握った。
「わ!冷たい!ちょっと待ってね、オレ温めてあげられるんだよー」
「ふえ…?」
男の子は得意気にそう言うと、高そうな毛布を私と一緒に肩にかけてギュッと抱き締めてくれた。
すると、男の子の体は温かくて私の冷えた体に体温が戻っていく。
「わぁ…暖かい…」
「だろー!オレ、火の力使えるんだぞ!すごいだろ!」
「うん!すごい…」
この時はこの子が王子様だって事も、火の力の事も知らなかった。
男の子の温かさがすごく優しくて心地よくてこんなに優しくしてもらったのは初めてで…嬉しくてまた涙が溢れてくる。
「ふえぇっ…」
「んなっ!?何で泣くんだ!?」
「おや、エド…」
「お父様違うよ!オレ泣かせてないもん!勝手に泣いちゃったんだよ!」
馬車に戻ってきたおじさんは私の頭を優しくぽんぽんと撫でてくれる。
「…もう大丈夫だからね」
お城に着くまでの間男の子はずっと温めてくれてお城に着く頃には体はぽかぽかに温まっていた。