火の力を持つ国王様は愛も熱い
エドワード王様を救うには薬を作るか、水の力が必要…。
薬を作れない以上水の力を持つ人を見つけるしかない。
火の王族と結婚していた時代もあるのだから現存している可能性は0ではないと思う…
私もアル君もエドワード王様の事を諦めきれなくて、洞窟を出て城下町で何処かで水の力を持つ人が現存していないか聞いて回った。
「水の国の生き残り?とっくの昔に絶滅したんだろう?ほら、客じゃないなら行った行った!商会の会長が行方不明になってそれどころじゃないんだ」
「お忙しい中すいません…ありがとうございました」
ヴァルのお父さんがあの後行方不明になって町中は何となく殺伐とした空気になっている。
「お前さん水の力を持つ者を探しているのか?わしは知っておるぞ」
「え!?本当ですか!?」
お店を出ようとした時お店の中の椅子に座って眠っていたおじいさんが急に声を掛けてきた。
「わしが若い時そこの酒場で働いてたんじゃよ、物凄いべっぴんでなぁ」
「またじいさんホラ話だよ…水の力持ってる人は王族なんだから酒場なんかで働いてるわけがらないだろ」
店主は呆れた様にそう言った。
本当にホラ話なのかな…?
おじいさんの言う事だし、今よりも昔の方が水の国の王族が残っていた可能性は高い。
「ホラ話じゃないぞ!わしは無類の美人好きだから何度も通って身の上話を聞いてたんじゃ!」
「おじいさん、その人の事教えてください」
「話はうろ覚えなんじゃが…確か、親が水の王族の妾でその子を妊娠した母親がアヴァンカルドに身を隠したとか」
それならありそうな話だ。
ホラ話じゃないかもしれない…
「そ、それでその人は今何処に?」
「酒場でもかなりモテていてなぁ、わしを含めて何人も彼女に求婚されていて、わしが玉砕して落ち込んでる間に何処かの男と結婚していつの間にかいなくなって……ん?ちょっと顔をよく見せてくれんか!?」
おじいさんは突然目を見開いて私の肩を掴むと顔をジッと見た。
「えっ!?何か…?」
「じじい!エマに触んな!」
近くにいたアル君は勢い良く私とおじいさんの間に立って引き離した。