火の力を持つ国王様は愛も熱い
訓練所の入り口に着くと、エドワード王様の側近達と前王様とローレンス王子が深刻そうな表情で扉の前に立っていた。
扉の前には水や雪の入ったバケツか大量に置かれている。
「エマ!こんな事言いたくないけど……兄上……もうダメかもしれない……訓練所の中の気温も上がって来ててさ、水を掛けに入ってるけどそろそろ中に入るのも危険かもしれない」
「私が入ります!私に行かせてください!」
私は迷う事なく置いてあったバケツの水を頭から被って雪の入ったバケツを手に持った。
すると前王様が私を止めようとした。
「エマちゃん、中はもう危険だから…」
「行かせてください……ふゥッ……私は何度もエドワード王様に凍えているところを助けて頂きました……今度は私に助けさせてください……エドワード王様とこのままお会い出来ないなんて……」
涙が零れ出てくる…
「……それでは、一度だけ……耐えられない気温になる前に出てくるように」
私は雪の入ったバケツを抱えてすぐに中に入った。
中の温度はかなりの高温になっていて、体に掛けた水は一瞬で乾き、バケツの雪もすぐに溶けてしまった。
「…クッ……ハァハァ……」
扉から一番離れた場所でエドワード王様は息を切らしながら苦しそうに蹲っていた。
急いで駆け寄った。
「エドワード王様っ!水をお持ち致しました…」
「ハァハァッ……エマ……部屋から出ろ!お前まで焼け死ぬぞ!」
「嫌ですッ……」
バケツの水がお湯に変わってしまう前にエドワード王様に掛けるけど、掛かった瞬間に湯気を立てて蒸発をしてしまう。