火の力を持つ国王様は愛も熱い
「中の温度が下がっているぞ!まだエマを救い出せるかもしれない!救出を急ぐのだ!」
「はっ!」
バンッ
扉が勢い良く閉まると、エドワード王様はすかさず私を抱き締めたまま壁側に移動させて隠してくれる。
「待て!俺もエマも無事だ!」
「エドっ!無事なのか!?」
前王様が急いで中に入ってきた。
「俺達は無事だが、衣服は全て燃えてしまった。羽織る物を持ってきてくれ」
「畏まりました!」
「二人とも無事だったの!?確かに気温も下がってる…どうして?」
「……まさか」
外にいた側近の人達がバスローブを持ってきてくれて、エドワード王様は自分の方はそっちのけですぐに私に着せてくれる。
二人ともバスローブを羽織ると前王様とローレンス王子が中に入ってきた。
「兄上、エマ!良かった!でもどうして?」
「わからん…気が付いたら体温が下がっていた」
あの本にあった通りキスでエドワード王様を救えたようだけど……まさか私が?
でも、今そんな事言ってもいいのかな?
「……エマちゃん、少し失礼するよ」
前王様はそう言うと突然手の上に火の玉を発生させて、私の腕に火の玉を押し付けた。
「きゃっ」
「父上っ!何してんだよ!?」
エドワード王様は私の腕から前王様の手を振り払った。
「エマッ!大丈夫か!?おい!すぐに氷水を!」
「いや、必要ないはずだ…エマちゃん、突然すまない。確かめたかったんだ」
前王様に火の玉を押し付けられた腕は……押し付けられた瞬間は熱かったけど何ともない。
「ン!?どういう事なんだ?火傷はないのか!?そういえば…さっきも服が焼けるほどだったのにエマの体は火傷の1つもないな」
「エマちゃん……君も気付いているかもしれないけど君は水の力を持つ者の様だ」
「は……エマが?」
「………私……先程、自分の体が燃えなかったので……もしかしたらと…」
するとそこにいた全員が驚いた表情で私の事を見る。