火の力を持つ国王様は愛も熱い



皆が驚いている中でエドワード王様は私を引き寄せて抱き締めた。


「エマ!エマのおかげで俺は助かった!ありがとう!」

「……ローレンス、訓練所のドアと鍵を閉めなさい」

「は、はい…?」


前国王様はローレンス王子にそう言ってドアを閉めさせた。


中には私達とエドワード王様のいつもの護衛兵2人と側近が3名のみだ。


「父上、どうかしたのか?」

「ここにいる者はエマちゃんが水の力を持つ者という事を知った者達だ。この事は絶対に他言してはならんぞ」


前国王様は真剣な表情でそこにいる全員に向かってそう言った。


「父上、どうして?絶滅したと思われてた水の力を持つ人が生き残ってたんだよ!お祝い事じゃないの?」


ローレンス王子がそう言うとエドワード王様が応えた。


「父上の言う通りにするべきだ。ローレンスはまだ学んでいないかもしれないが、エマの事がライマール王国の耳に入るとまずい…水の供給が友好関係の要になってる今水の力を持つ者がいるとわかればエマが攫われる可能性がある。そしてエマがライマール王国の手に渡れば侵略してくる可能性もあるからな」

「そういう事だ。情報が漏れた場合には調査を行い、漏らした者は必ず特定する……それなりの罰も受けてもらう事になるからくれぐれも守って欲しい。エドワード王には個別に話があるから私の部屋へ移動しよう。他の者は解散するように」


その場にいた人達は全員前国王様に敬礼をした。


エドワード王様は私の頭をポンと撫でた。


「父上と話してくるから部屋で待ってろ。ローレンス、エマを部屋まで送り届けろ」

「はーい」


前国王様とエドワード王様が出て行くと、私とローレンス王子も部屋へと向かってエドワード王様のお部屋まで送り届けてくれた。
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