火の力を持つ国王様は愛も熱い


私はいつもローレンス様の専属メイドとは極力顔を合わせない様にしているけれど、ふと目が合ってしまった。

「ちょっとエマ」

「は、はいっ」

「あんた、エドワード王様と寝食共に過ごしてるって聞いたけど勿論あっちの相手もしているのでしょ?平民のクセに」

「いえ!そういった事はしておりません…」

「そういう建前いらないから!どう見たって顔で選ばれてるのわかるし、それ無かったら専属にする意味ないじゃない」

「ちょっと言い過ぎよっ…エドワード王様のお気に入りなんだから突っかかると後でどうなるかわからないわよ…ほら、エマ早く仕事行きなさい!この子今気が立ってるから」

私は急いで頭を下げてクローゼットルームを後にした。

怖かった…でも、あの歳で来る者拒まずで有名なローレンス様が本当に珍しい。

逆に15歳で女の子の扱い上手いのが不思議なのかもしれないけど…

やっぱりエドの命が危ないところを見てショックだったのかな?




「エマ?何か考え事か?」

「あ…ごめんなさい…ローレンス様が…」

「何?俺以外の男の事考えていたのか?」

「違っ…ン…」

エドは怒ってるフリをして唇を重ねた。
本当にそう思ってるわけじゃなくてキスする口実。

さっき部屋に戻ってきてからもうこれで3回目。

「もう…部屋出たら絶対しちゃダメだよ?」

「そしたら部屋にいる間はしておかないとな」

そう言ってまたキスをする。
唇が離れるとエドは私の頭をポンと撫でた。

「…で?ローレンスがなんだって?」

「あ…ローレンス様の専属メイドが昨日の夜お誘いしたみたいなんだけど、断られてしまったみたいで…ローレンス様にしては珍しかったから…昨日エドが危なかった事気に病んでないかなって…」

「ローレンスが俺の事で気に病むわけないだろ?多分、今日からあいつの婚約者が城に来るからそっちだろ」

「え!ローレンス様にそういった方いらっしゃったんですか?」

「相手がここから海を渡った秘境の地にあるフォース(力)を持たない国の姫だから特に公にはしてないんだ」

海を渡った地…。

まずここから海まではかなりの距離がある。
道もほとんど拓けていない為、一般の国民が海に行く事はない。

王国所有の貿易用のフェリーはあるとは聞いたことあるけど、詳しくはわからなかった。

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