火の力を持つ国王様は愛も熱い
「ローレンスの事なんかどうでもいい。姫が到着する前に父上に俺達の事を報告しよう。行くぞ」
「…はい」
……反対されたらどうしよう。
本来ならいくら水の王族の生き残りだからってう滅んでる国だ。
エドの力さえ抑える事さえすれば用済みとされてもおかしくない。
エドに連れられ緊張しながら先代国王様の元へと向かい、何の躊躇いもなくわたしとの婚約の事を報告した。
「ふむ…相分かった。かつて水の王族と炎の王族の婚約は珍しくはなかったと文献が残っている。エマちゃんとの縁談は今後水の力を持つ者も生まれる事は承知だろう?今後水の力を持つ者への対応は?」
「当分の間はライマーレ王国へは水の力の存在は隠し通しつつ……エマへの護衛を強化した上で近い将来水の国アクアヴェールの復興を考えております」
アクアヴェールの復興…!?
まさかエドがそこまで考えているなんて思わなくて驚いた。
すると先代国王様は立ち上がってエドの前に歩いて来て、突然二人でハイタッチをした。
「エド!本当にお前とわしは考え方が同じで困るな!アクアヴェール復興の事はさておき、エドがエマちゃんを幼い頃から想っていたのは知っていたからな」
「私…ただのメイドです…本当にエドワード王様と結婚だなんてとても見合わないかと」
「見合わないなんて事ないんだよ。エマちゃんはエドが愛している自分の命を省みずにエドを救ってくれた素晴らしい女性だ。充分じゃないか」
先代国王様は優しい笑顔でそう言って私の肩をポンポンと撫でてくださる。
「ありがとうございます……王族に嫁ぐ身として精進致します」
「式の日取りが決まるまでは一部の者以外へは内密に致しますので」
エドはそう言って頭を下げた。