火の力を持つ国王様は愛も熱い
庭園に着くと、心地の良い暖かさで不思議な事に庭園部分だけ雪も霜も一切なくしっかり温度が管理されているようで、蝶々まで飛んでいる。
花もとても綺麗に管理されてた。
「……わぁ…綺麗」
「ふふ…リリィ姫は花が好きなんだね、よく覚えておこう」
「お、覚えて頂かなくて結構です!私に構わないでください」
「なかなか心開いてくれないな」
すると庭園の一角に温度を管理している大きな釜の様な物が置いてある事に気が付いた。
あれでどうやって温度管理するんだろう?
っていうか、炎の力ってどうやって使うのかな?突然燃えたりとかしないのかな?
「少し管理の時間には早いけど、どうやって暖めるか見てみる?」
「…」
ローレンス様は心読めるのかな…?
考えてる事すぐ見透かされるみたい。
私黙って頷いた。
「この釜に一定の熱をくわえる事でこの装置を伝ってエネルギーの膜が一定の空間にだけ張られて暖かい温度を保つ事が出来るんだ」
ローレンス様は説明をしながら釜を開けると釜の中には小さな種火の様な火が灯っている。
「火が点くけど危なくないから安心して」
そう言うとローレンス様の手の平の上にふわふわと炎が灯った。
「わっ!本当に炎が出てる!手熱くないの?」
「熱くないよ、去年やっと炎出せるようになってそれからここの管理する様になったんだ」
ローレンス様が手の上の炎を釜の中の種火に近付けると小さかった種火は少し大きくなった。
「この炎があんまり大き過ぎると暑過ぎて花が枯れてしまうから調整が大事なんだ。最初は何度も失敗したからリリィ姫が来るのが今で良かったよ」
「すごい…あっ!炎の力が!えっと…想像してたものと全然違ってすごく優しくて暖かい力ですね」
「そう思ってもらえてよかった、怖がらせたらどうしようかと思ったよ。ハーブティー用意させてるからリリィ姫はそちらでゆっくりしてて」
ローレンス様が庭園の管理をしている間、庭園にあるベンチでハーブティーが出されてゆっくり庭園を眺めていると暖かさが心地よくてウトウトしてきてしまう。
「リリィ姫、疲れたよね?休もうか」
「ん…Zzz…少し寝ます…」
「それでは部屋へ…」
ローレンス様に声を掛けられたところまでは何となく覚えているけれど、そのまま寝落ちてしまった。