火の力を持つ国王様は愛も熱い
晩餐会では食べた事のない食材やフルーツに驚かされて、とても美味しく、皆とても温かく優しい人達で楽しい時間を過ごした。
「それでは最後となるが…この場を借りて報告させて欲しい。先程恋人として紹介したエマと私エドワードは近々婚約する事をここに報告致します」
エマさんは深々と頭を下げた。
「失礼ですが国王陛下」
あの人は…確か先代国王様のご兄弟の奥様だったかな…?
覚える人が多過ぎて全然覚えられない。
「何か?」
「そちらのエマ様、噂によると平民だと小耳に挟みました。国王陛下とあろうお方が簡単に平民を王族に招き入れるなんて信じられませんわ。気に入られているのなら妾でおいておいたらいいじゃない」
絶対あぁ言うおばさんいるよね…
あの口ぶりから貴族出なんだろうけど、王族の血は引いてないくせに。下品だし、失礼過ぎ!
エドワード王様とエマさんの純粋ラブストーリーの邪魔しないで欲しい。
「いずれ分かることだが、ここにいる者には先に報告しておこう。エマは今は亡きアクアヴェールの王族の末裔だ。現在では無くなったとされていた水の力を持っている」
エドワード王様がそう言うと皆驚きの表情を浮かべた。
ん…?つまり、エマさんは水のお姫様って事?
フォースの事は来る前に少し学んだだけで詳しくはないけれど、エマさんは確かに水のお姫様のイメージが良く合う。
「先代国王陛下!それは本当なのですか?」
「事実です。先日、その力で製薬所の火事で薬を切らした国王陛下の命を救いました。水の国の王族であり陛下の命を救った彼女が陛下と見合わないとでも?」
「……しかし、水の力の存在がライマーレ王国に伝われば…」
「つまりだ、他言すれば平穏な日々が終わる事をお忘れなく」
「…」
感じの悪かった者たちは口を閉ざした。
それと同時に私は拍手をしていた。
「リリィ姫様っ」
隣りに座っていたカイルに慌てて止められる。
「どうして止めるの?エドワード王様がこんな素敵な花嫁様とご結婚されるのに!おめでたい事じゃないですか、私は心からお祝い致します!」
すると、ローレンス様はふっと笑って立ち上がって私に続いて拍手をする。
「そうだよ。兄上、エマ結婚おめでとう」
そしてそれに続いて文句を言っていた人達以外はお祝いムードとなった。
エマさんが涙を流しながら何度も頭を下げて御礼を言うと、すぐにエドワード王様はエマさんを連れてこの場を後にした。