火の力を持つ国王様は愛も熱い

「ド…ドレスの留め具が外せないのです…外して頂けませんか?」

「リリィ姫、ここじゃなくて部屋の中に…」

ローレンス様に促されて一緒に部屋の中へ入った。

「パって外してくれたら良いの…それで解決するのに護衛の人ってば」

「半分脱いでる状態で、僕以外の男に頼んだらダメだよ」

ローレンス様はため息をつきながら背中の留め具を外してくれる。

「だってこういう時カイルにやってもらってるし、下裸じゃないもの」

「あの人は特別だから。ほら、外れた」

「ありがとう。まだ起きてた?」

「ちょうどベッドに入るところだったよ」

ローレンス様は薄いシャツとズボンのパジャマ姿だった。

「そう…私はお風呂へ入ってきます」

「うん、また何か困るといけないからベッドに入るまでここにいるよ」

「もう平気なのにっ」

「ほら、早く風呂入らないと一緒に入るよ?」

「ダメです!絶対入ってこないでください!」


急いで浴室に入る。

シャワーを浴びて薔薇の花びらの浮いている浴槽に浸かるとホッとする。


慌ただしい一日だったな…
カイル…明日帰っちゃうんだ。

一息つくと急に明日から自分の国の人が誰もいなくなってしまう事に不安になる。

カイルは私が物心つく頃から教育係兼用お世話係で長い間お世話になっていた。

お父様よりもお父さんみたいで優しくて大好きだった…

急にしんみりして来ちゃった。
ダメダメ…明日から一人なんだからしっかりしなくちゃ。

私がお風呂から出ないとローレンス様も休めないし、早く出よう。


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