あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
後になって分かった事ではあるが、悠斗さんは自分とアランが会社内で噂になっていることを、この時まだ知らなかったのだ。
もちろん、写真を撮られていたことも知らなかった。
「おまたせ…これで誤解は解けたかな。」
アランは悠斗さんの部屋に入るなり、急ぎ洗面でメイクを落としてきたのだ。
髪も後ろに一つに束ねた。
「アランさん…本当に男性なのですね。」
アランはメイクを落とすと、驚くような美形の男性だった。
キリリとした精悍な顔立ちをしている。
アニメの中から出て来た王子のようだ。
つくづく化粧とは恐いものだと感じる。
この精悍な顔が、あんなにも妖艶な美女になってしまうのだ。
アランの身長が、悠斗さんと同じくらいなのも納得できる。
しかし、アランが男性だったとしても、もう一つ気になることがある。
なぜ、悠斗さんは私を遠ざけてコソコソと内緒話をしていたのだろうか。