あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
“ピンポーン”
返事とほぼ同時にドアが開いた。
悠斗さんは少し困った顔をしている。
何があったのだろう…さらに緊張する…
すると、悠斗さんは私の両肩を掴んで私を真っすぐ見た。
「…桜…あの…すごく言いづらいのだけど…うちの両親は少し変わっているんだ。」
そんなに厳しいご両親なのだろうか。
「悠斗さん、大丈夫です。こう見えても秘書として厳しい方々には慣れております。」
「いや…そうじゃなくて…逃げたくなったら言ってくれ。」
「逃げるなんて…決して致しません。」
悠斗さんはご両親のいるリビングのドアに手を掛けて、もう一度私の顔を見た。
「桜…開けるぞ。」
「…はい。」
私は大きく息を吸って、深呼吸した。