あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
父と私が病室に戻ると、しばらくして誰かが扉をノックした。
「どうぞ、入ってください。」
父が返事をすると、ドアは勢いよく開けられた。
そして、飛び込んできたのは、神宮寺社長だった。
病院の看護師が神宮寺に連絡をしたようだ。
神宮寺社長は入り口のドアを開けたまま、目を大きく見開いて一瞬固まってしまったが、次の瞬間、父に駆け寄り大きな声を上げた。
「伊織さん!!気が付いたのですか!」
「神宮寺君、今までいろいろと世話になったみたいだな…本当にすまなかった。この通りだ。」
父はベッドに座り、深く頭を下げた。
神宮寺は少し焦ったように、父の肩を両手で掴み起き上がらせた。
「伊織さん、謝るのは僕の方です。申し訳ございません。あの頃の僕は力が無くて、上司に逆らう事が出来なかった…情けない男です。それであなたをこんなにも苦しめてしまった…」