あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
私の幸せな家族を、全て壊したのはあの男だ。
父が居なくなり、やがて工場は倒産した。
私は働きながらなんとか奨学金で大学を卒業。
しかし、母は心労からなのか、身体も弱くなり入退院を繰り返すようになってしまった。
あの男が憎かった。
私はそれからというもの、あの男に復讐をするため、何とか近づく計画を立てた。
大学卒業後、まずは大手メーカーに就職をした。
そこで秘書の仕事に就いたが、さらに必要とされる資格取得に励む毎日だった。
どれだけの時間を、そのためにつぎ込み、犠牲を払ってきただろう。
私の名前は、伊織 桜(いおり さくら)27歳。
私はこの春から、ネクストアイランドの社長室付秘書として働くことになった。
やっとここまで来たのだ。
あの男のすぐ近くまで辿り着いた。
…これで、私は家族の復讐ができるところまで昇って来たのだ。