あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
「…桜、偽装の恋人は、もう止めよう。」
神宮寺の言葉に、何故か心がチクりと痛んだ。
心臓がドクドクと大きな音を出している。
「…はい。分かりました。」
(…これで、恋人の振りは終わりなんだ…)
ほんの少しの間だったが、神宮寺の恋人役は嫌ではなかった。
嫌どころか、私は嬉しかったのかも知れない。
胸が真ん中がギュッと痛くなる。
私はここに居るのが苦しくなり、病室を出ようと歩き出したその時、後ろから神宮寺の声が、私を追いかけるように響いた。
「偽装の恋人ではなく…俺と結婚しないか?」
思いもよらない言葉に、聞き間違えだと思った。
「あの…社長…今、何と仰いました?」
「俺と…結婚しようと言った。」
「…っは?」