あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
「神宮寺社長、…須藤さんから連絡が入りました。」
「あぁ、何かあったのか?」
「進藤さん親子が、うちの会社にいらしたそうです。」
「…なんだって…それで須藤は何て言っていた?」
「神宮寺社長の居る場所はもちろん教えておりませんが、進藤さんはいろいろと嗅ぎまわっているので、注意するようにと言われました。」
神宮寺はベッドで起き上がり、顎に手を当て、眉間に皺を寄せて何かを考えている。
「社長、良く分からないのですが、なぜ進藤は、いくら溺愛している娘のためとはいえ、神宮寺社長を追いかけまわすのですか?結婚を急ぐ理由でもあるのでしょうか?」
すると、神宮寺は眉間に皺を寄せたまま話し出した。
「進藤祥子の父親については、須藤から聞いているか?」
「はい。不動産王と聞いています。」
「その通りだ。進藤はうちの会社も自分の会社の傘下に置きたいと思っているのだろう。そのためにも、俺と祥子を結婚させれば、手っ取り早いからな。」
祥子は単純に神宮寺が好きなのかもしれないが、父親の方は、かなり企みがあるようだ。
祥子と神宮寺を早く結婚させたい理由もあったのだ。