あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる

その日のうちに私達は婚姻届けを役所に提出した。

須藤が私達を車で役所へ送ってくれたのだ。


婚姻届けを提出する窓口も、とても事務的だ。
窓口の女性は30代くらいだろうか、眼鏡をかけて髪を一つに結んでいる。
その女性は、表情を変えずに書類の不備が無いかを確認すると一言だけお祝いを言う。


「おめでとうございます。書類は受理致しました。」


とても簡単だ。
結婚とは紙を一枚提出すれば良いだけなのだと痛感する。

なんとなく虚しい気持ちになった。


小さいころ、私は結婚やお嫁さんに憧れていた。
いつか王子様のような素敵な男性と出会い、恋をして、結婚するのが夢だった。

こんなにも現実は違うものだったとは…


ただ、すべてが夢と違うわけでは無いかも知れない。
神宮寺は王子様のような男性だ。



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