あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
病室を出て行こうとする祥子を目で追いながらも、進藤は私達二人を交互に睨んだ。
「お前たち、思い道理になったと思うなよ…いつか後悔させてやるからな。」
言葉を吐き捨てるようにして、祥子と進藤は病室を出て行った。
進藤親子の登場でかなり緊張していた私は、一気に力が抜けて横にある椅子にペタンと座った。
すると、神宮寺が私を見て微笑みながらパチパチと手を叩いた。
「…なぜ、手を叩くのですか?」
神宮寺はしばらく拍手した後、声を出して楽しそうに笑い出したのだ。
「…桜、進藤たちはお前の凛とした姿に驚いていたぞ…しかし、はっきり言うと、俺も驚いたよ。…さすが俺の奥様だな。」
神宮寺から奥様と言われると、急に恥ずかしくなる。
「…か…揶揄わないでください!」
「桜…嬉しかったよ。“神宮寺の妻です” とは俺の方が赤面しそうだった。すごい破壊力だったぞ。…桜は俺の妻なのだと実感したよ。」