あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
この男には本当に驚かされる。
本当に私を待っていたのだろうか?
「何か、私に用ですか?」
すると鳴海は自分の両手を広げて、呆れたというポーズをとった。
「酷いなぁ…もう忘れたの?友達になろうって約束したでしょ!」
「あなたが勝手に言っていただけで、私は約束しておりません!」
「…桜ちゃんは、相変わらず冷たいねぇ。」
しかし、鳴海は全く怯む様子は無い。むしろ、私の反応を喜んでいるようにも見える。
「ねぇ、ご飯食べに行かない?」
「行きません!」
「じゃあ、決まりだね!行こう!」
鳴海はなぜか嬉しそうに、断っている私の腕を掴むと、強引に歩き始めた。
「な…な…鳴海さん!聞こえていますか?私は、行かないって言っているのに!」
すると、振り返った鳴海は、またあの子犬のような瞳をした。
私はこの瞳に弱いのかも知れない。昔、実家で買っていた柴犬のラッキーを思い出してしまう。どこか切ない感じの、つぶらな目はずるい。
強く抵抗できなくなる。