あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる


「ねぇ、桜ちゃん…魚と肉はどっちが好き?」


鳴海に連れてこられたのは、お洒落な雰囲気の女性が好みそうなイタリアンだ。
女性には慣れている、鳴海が選びそうなお店だ。

ここは、カップルも多いが、女性同士で来ている人たちも目立つ。
店内は少しアンティークのテーブルと椅子、そして壁にはたくさんのドライフラワーが飾られている。

床も壁も木でできていて、ログハウスを思わせる温かい感じのお店だ。


「…どちらかと言えば、魚が好きです。」

「そうなんだ。…じゃあ、メニューは僕の任せてくれる?」


鳴海は、店員に慣れた感じでオーダーを始めた。
ちょっとカッコよく見えてしまうのは癪だ。


「ねぇ、桜ちゃんは付き合っている男性はいるの?」


鳴海のいきなりの質問に、心臓がドクンと大きく音を立てた。

付き合ってはいないが、結婚しているなんて、言えるはずもない。
しかも、その相手が社長である悠斗さんだとは、口が裂けても言えない。


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