あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
「さすが、神宮寺社長ですね。」
鳴海は何を言っているのだろう。
やはり、何か企んでいたのだろうか。
鳴海は片眉と口角をあげて、開き直ったように話を始めた。
「僕は、進藤祥子に頼まれたのですよ…伊織桜を誘惑して、神宮寺社長と別れさせろってね。祥子とは昔から、遊び友達だったんだ。」
「…祥子に頼まれただと?」
「そう…もし伊織さんを誘惑して、神宮寺社長と別れたら、車を買ってくれる約束だったのに…でも、それは最初だけの話。」
「…どういう意味だ。」
鳴海はなぜか嬉しそうにコクコクと頷いた。
「何度か伊織さんに接しているうちに、僕は気が変わったんですよ。…車は要らないから、本当に伊織さんを自分のものにしたいと思い始めています。」