【完結】恋の恋愛包囲網〜刑事編〜
「麻衣ちゃん!お疲れ様」
「あ、如月さん。お疲れ様です」
私が働くクリニックの医師、如月(きさらぎ)さん。
如月さんにはいつも、一織に対する愚痴を聞いてもらっている。
「麻衣ちゃん、どうした? なんか元気ない?」
「え、分かります……?」
如月さんには、何でもお見通しなのかな?
「そりゃ分かるよ〜。私は精神科医よ?」
「ですよね……」
と呟きながら、お弁当箱のフタを開ける。
「で、どうしたの?何があったの?」
「実は一織が、また潜入捜査してて……。もう四日になるんですけど、連絡を一切くれなくて……不安で」
「そっかあ。彼また、忙しくしてるんだ」
と、如月先生は言う。
「はい。 今度は麻薬組織に潜入してます」
「麻薬組織? ずいぶん危ない所にいるのね」
「はい。なんか麻薬取締官と協力して、潜入捜査してるみたいです」
一織には、マトリ(麻薬取締官)の同期がいるみたいで、その人と潜入捜査するのだと言っていた。
「潜入捜査、早く終わるといいわね」
「はい。……なんかもう、待ってるだけでヒヤヒヤしますよ」
一織が無事に帰ってきてくれることを、祈るばかりだ。