【完結】恋の恋愛包囲網〜刑事編〜


「……チッ」

 聞き分けが悪いヤツだ。クッソッ……。

「一織、警察すぐに来てくれるって」

 そこに急いできたのか、麻衣が現れる。

「分かった」

 ……まずいな、ギャラリーが集まってきやがった。 このままじゃ、犠牲者が増える可能性がある。
 まずはここにいる人たちを避難させないと。

「麻衣、もう一つ頼まれてくれるか?」
 
「え? もう一つ……?」

「ああ。警備員と協力して、ここにいるみんなをすぐに安全な場所へ避難させてほしい」

 犠牲者が出てしまったら、さらにここは混乱の渦に巻き込まれる可能性が高くなる。

「でも、一織は……!?」

「俺はヤツの目を引く。その隙にみんなを逃してくれ」

 それが俺たち警察官としての役目だ。そうするべきだ、絶対に。

「でも、そしたら一織が……!」

「麻衣、俺は警察官だ。俺にはあの人の命を守る義務がある」

 そう言った俺の服を、麻衣は悲しそうに掴む。

「でも、一織……!」

「麻衣、警察がもうすぐで来る。……そしたらみんなを、逃してくれ」

 俺は麻衣の腕を掴む。

「ヤツは危険だ。下手したらここにいる人が巻き込まれる可能性だってある」
< 26 / 54 >

この作品をシェア

pagetop