【完結】恋の恋愛包囲網〜刑事編〜
「……チッ」
聞き分けが悪いヤツだ。クッソッ……。
「一織、警察すぐに来てくれるって」
そこに急いできたのか、麻衣が現れる。
「分かった」
……まずいな、ギャラリーが集まってきやがった。 このままじゃ、犠牲者が増える可能性がある。
まずはここにいる人たちを避難させないと。
「麻衣、もう一つ頼まれてくれるか?」
「え? もう一つ……?」
「ああ。警備員と協力して、ここにいるみんなをすぐに安全な場所へ避難させてほしい」
犠牲者が出てしまったら、さらにここは混乱の渦に巻き込まれる可能性が高くなる。
「でも、一織は……!?」
「俺はヤツの目を引く。その隙にみんなを逃してくれ」
それが俺たち警察官としての役目だ。そうするべきだ、絶対に。
「でも、そしたら一織が……!」
「麻衣、俺は警察官だ。俺にはあの人の命を守る義務がある」
そう言った俺の服を、麻衣は悲しそうに掴む。
「でも、一織……!」
「麻衣、警察がもうすぐで来る。……そしたらみんなを、逃してくれ」
俺は麻衣の腕を掴む。
「ヤツは危険だ。下手したらここにいる人が巻き込まれる可能性だってある」