【完結】恋の恋愛包囲網〜刑事編〜


 警察官と警備員に、他のギャラリーの避難をお願いする。
 バタバタと逃げていくお客さんたちの姿を、遠目から確認出来た。

「小野田、他の従業員たちも全員避難させろ!」

「はい!」

 来栖さんの指示で、他の従業員も順番に避難させていく。
 麻衣は大丈夫だろうか……。ちゃんと避難出来たのだろうか。

 麻衣は多分、すごく怖いと思う。麻衣は過去に、殺人事件を目撃したことがあった。
 それ以来、麻衣はトラウマになりドラマなども見れなくなっている。刑事物だけじゃない、医療ドラマもだ。
 
 俺が刑事をやっていることも、麻衣は本当は反対だ。
 だけどそれでも何も言わないのは、俺を信じてくれているからだと信じてるからだ。

 麻衣には心配ばかりさせてしまうし、悲しい思いをさせてしまうけど、麻衣は俺を理解してくれている。
 だからこそ麻衣を、俺は守りたいんだ。

 ーーーそう思ったその時だった。

「麻衣……!?」

 避難したはずの麻衣が、なぜか俺をめがけて走っていた。

「一織……」
 
「何やってるんだ、麻衣! 避難しろと言っただろ!?」

「……ごめん、一織。やっぱりそれは出来ない」
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