【完結】恋の恋愛包囲網〜刑事編〜


 一織は潜入捜査で恐らくしばらく帰ってこれないから、私は一織を待つことしか出来ない。
 一織が無事に帰ってきてくれることを、願うしかない。

「行ってくるよ、麻衣」

「行ってらっしゃい。……気を付けてね、一織」

 一織と離れるのは寂しいし、離れたくない。でも一織のことを待ってるのは、私の仕事だから。

「ああ。 ちゃんと帰ってくるから、待っててくれ」

「……うん、待ってるよ。当たり前じゃん」

 一織を見送った私は、いつも寂しさをこらえている。

「一織……絶対に帰ってきてね」

 一織がいないと私は、生きていけないんだから。 一織がいないと……ダメな女なんだから、私は。

 一織とは高校の同級生だった。交番勤務していた一織に助けてもらっことがきっかけで、伊織と付き合うようになった。
 最初は一織が刑事ってだけで、私はすごく心配だった。

 いつか危ない目に遭うんじゃないかって、そう思ってしまうことが多くて、不安で不安で仕方なかったんだ。
 だけど一織は、いつも私に「心配するな。俺はいつでも、麻衣の所に帰ってくる」そう言ってくれたことが嬉しくて、一織のことをさらに好きになった。

 ……一織は、私の全て。
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