【完結】恋の恋愛包囲網〜刑事編〜
来栖さんは、力強い眼差しを犯人に向けていた。
「引き出すって……」
それが上手くいくかなんて、分からない。
「やるしかないだろ。……彼女を助けたいんだろ?」
「……っ、はい」
待ってろよ、麻衣。俺はお前を必ず助けてやるから。
絶対に守ってみせる、俺の大切な人を。
「なあ、教えてくれ。その美由紀ってのは、何者だ?」
来栖さんが、犯人にそう問いかける。
「アイツは詐欺師だよ! 俺はアイツに騙されたんだよ!だから早く美由紀を見つけてくれよ!俺の金を取り返してくれよ!」
「分かった。今から美由紀を探してやる。だから一時間だけ待ってくれないか」
と、来栖さんは犯人と交渉する。
「……いや、三十分だ。三十分だけ待ってやる!だから美由紀を捕まえろ!」
「三十分……!?」
三十分なんて、そんなのは無茶だ!
そもそも三十分でもし美由紀を見つけたとしても、結婚詐欺を認めるかなんて分からない。
「無茶だ!三十分なんて、出来るわけがないだろ……!」
「なら四十分やる! さっさとあの女を見つけてこい!」
麻衣にナイフを向けた犯人は、俺たちにそう言った。