【完結】恋の恋愛包囲網〜刑事編〜
来栖さんは電話越しにそう言っていた。
「え?犯人がそっちに?」
「ああ、美由紀はまだかと怒りを顕にしている。……とりあえず、ここは俺たちが時間を稼ぐ。お前は彼女に着いていってやれ」
来栖さんは俺に気を遣ってくれたのか、そんなことを言ってくれた。
「でも、タイムリミットまで後僅かです! なんとかなるんですか?」
「安心しろ、例の女も見つけた! 今小野田たちが彼女とこっちに向かってる」
美由紀もこっちに向かってるのか……。タイムリミットまでに、間に合えばいいが……。
「そうですか。 間に合えばいいんですが……」
「大丈夫だ。俺たちは警察だぞ? 人質も犯人も無事に助けることが、俺たちの使命だ」
「……はい」
来栖さんの言うとおりだ。俺たちは市民の安全を守るのが役目だ。
誰一人傷付けたりしないように、慎重に行かないと……。
「だから、後は任せろ一織!」
「はい。……ありがとう、ございます」
電話を切り終え、麻衣を抱き抱えて倉庫の外に出る。
麻衣は体力的にもかなり疲れてはいるが、命に別状はないようだ。 とりあえず、俺はそれに安心した。