幸せは君を殺す
日常の始まり

“世界で新たな奇病に認定された病。



日本で初めて発見された発症者は、感染することはないと判断され、一般病院で治療法を受けています。




その奇病の特徴としては、発症者が幸せを感じた時に分泌される幸せホルモンを栄養に成長する菌だと発表されています。




先程、その菌を発見した奇病専門の研究をしている中村秀智さんが奇病の名前を発表されました。



奇病の名前は『幸食病』と名付けられ、幸食菌からなる幸食病は、未だ治療法を発見されておらず———”



「またやってんのか。」




左上に7時27分の文字が映っている朝のニュース番組を見ながらそう思った。
最近、このニュースばかりを見ている気がする。



いつものように、朝ご飯を食べてから部活の準備をして、それから制服に着替える。

ずっと、同じことを繰り返してこれが俺の毎日だ。



「もうっ、悠太!テレビ見てないで、早く行きなさい!今日、朝部活があるんでしょう」




エプロンを脱ぎながらパタパタとスリッパの音を鳴らして歩いている母さんは、いつものように俺を急かす。



「わかってるって!もう、出るから!」



洗面所の方に行った母さんに聞こえるように大きな声で叫ぶ。





7時30分を過ぎたことに気づいて、急いで荷物を持って靴を履く。



「じゃ、行ってきまーす」



ドアが閉まる間に微かに聞こえた母さんの「いってらっしゃい」を聞いて、学校に向かって歩き出した。



あ、昨日もこんな感じだったな。



今日も普通の1日になりそうだな。





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