幸せは君を殺す
そのあと、監督の車で病院まできた。



監督の車の中での会話なんて覚えていない。ただ、気まずい空気が流れているだけだった。



学校から一番近い病院は、都会に建っていることもあり、人が多く騒がしい。




監督の後ろ姿を見失わないようについていくと、受付に着いていた。




「すみません、診てもらいたいのですが。」




監督がそう声をかけると、受付の女性は「今日はどういたしましたか?」と尋ねる。




待っている人がたくさんいるのに、俺を優先して案内してくれるのが少し疑問に思った。



でも、それは俺の腕を見てすぐわかった。



俺の右の手首が赤色を越えて、紫色になり腫れていたからだ。




「このとおり、手首をひねってしまって。検査も含めて、お願いしたいんですが。」



…監督って、敬語もつかえるんだな。



ちょっと失礼過ぎか。まぁ、監督だし。



「おい、柴岡。いくぞ」



「あ、はい」



いつのまにか、受付を終わらしていた監督に数枚の紙を受け取って、また後ろ姿を追う。



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