少女端末
「別に何もないよ。ちょっと話してただけだし・・・。」

「でも町田先生ってあんまり生徒と仲良くしないよね。何で大田さんとは仲良いの?」


しつこい。

仲が良いというより、先生がなぜかやたら話しかけてくるだけだ。

でもそれを言うと、余計面倒なことになりそうだ。

どうしたものか迷っていた、その時だった。


「おはよう。」


私を囲んでいたクラスメイト達の背後から、声がした。


「みんなで何か悪巧み?・・・それともイジメ?」

「あ・・・。」


歴だった。


歴はにこ、と笑っているだけだが、その笑みには有無を言わせない凄みがあった。


あ、ううん、大田さんちょっと訊きたいことがあっただけなの・・・。」


クラスメイト達は慌てて離れていった。

私は驚いて何も言えず・・・きっと、そうとう間抜けな顔をしていたに違いない。


「大丈夫?」


歴が私の顔を覗き込んだ。

歴の綺麗な顔がすぐ間近にあって、私は緊張した。



「あ、はい・・・!」

「何か嫌なこと言われなかった?」

「い、いえ、何も・・・ちょっと訊かれただけで。」



どうして助けてくれたのだろう。

優しさ?

嬉しいことに変わりはなかった。
< 13 / 14 >

この作品をシェア

pagetop