少女端末
「あっ!」

「え!?」


レナがいきなり大きな声を出したので、私も大きな声で驚いてしまった。


「ごめんごめん。先生に用があるの忘れてた。」

「先生って誰?」

「部活の顧問。夜江子付き合って。」


レナは結構甘えん坊だ。

断る理由もないので一緒に教室を出た。



顧問の先生は中学生の担任らしい。

職員室まで行ったけれど見つからず、中等部の教室がある校舎まで行くことになった。

この学校は広くて複雑で、教室の配置を覚えるのには随分かかった。


校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下が見えてきた。

その渡り廊下の手前は美術室と美術準備室、倉庫があるだけで、ひんやりとして薄暗い。

「この辺暗いよね。部活終わってから通るの怖いんだよ。」


レナが言ったときだった。

ギィ、と音がして美術準備室のドアが開いた。

私とレナはドキリとしてそちらを見た。


「あ。」


私は思わず声をだしてしまった。

出てきたのは歴だった。

歴は私達と目が合うと一瞬立ち止まってニコっと笑った。

そして教室の方へ歩いていった。

レナは普通に手を振っていたが、私には当然そんな余裕は無かった。












< 7 / 14 >

この作品をシェア

pagetop