貴方の残り香〜君の香りを狂おしいほど求め、恋しく苦しい〜
ソファに座った真梨子は、目の前に並ぶ料理の数々を見てお腹が鳴ってしまった。それを聞いていた譲が吹き出したため、真梨子は恥ずかしそうにそっぽを向く。
そりゃそうよ。あれだけ動いたら、昨日のラーメンなんてあっという間に消化してるわ。
食事系のパンケーキの皿に伸ばしかけた手を、譲がさっと制止する。
「食べる前に昨日の話をしてもいいか?」
「……嫌よ、お腹すいたもの。食べてからじゃダメなの?」
「ちゃんと確証が欲しいんだ。安心して美味しい朝食が食べたいだろ?」
「……わかったわ」
「よし。まず今日から真梨子と俺は恋人同士だ。半年経ってもお互いの愛情が変わらなかったら、半年後には籍を入れよう」
きっと譲は、離婚した女性が半年間は再婚が出来ないことを知っているのね。でも結婚に至るまでの交際期間は人それぞれだし、半年が早いとも感じていなかった。
ただ別れた翌日に結婚の約束だなんて、複雑な気持ちもあった。
「……私も確認したいことがあるんだけど……」
「なんだい?」
「譲は……子どもは欲しいと思う?」
「当たり前だろ。真梨子そっくりな女の子なら最高って言ったじゃないか」
「……あれって本気だったの?」
譲が表情を変えずに言ったものだから、真梨子は呆気にとられる。
「なんなら今すぐ始めてもいいけど」
「……今はダメ」
不敵な笑みを浮かべる譲を見て、真梨子はため息をついた。
「……わかったわ。半年後に答えを出す」
「それから、今の家から引越しをするだろ?」
「えぇ、近いうちに部屋を探そうと思ってる」
「それならうちに来ないか? 離婚したばかりでまた男と暮らすのは嫌かもしれないが、お互いを知るには手っ取り早いと思うんだ」
晃とは一緒に暮らしていたとはいえ、ほとんど一人暮らしのようなものだった。離れたくないから一緒に暮らすのとは違い、結婚したから義務的に一緒に暮らすという発想の方が近いかもしれない。
また同じことの繰り返しになるのが怖い。でも一緒にいれば、晃と住み始めた頃に感じた違和感にも、今度はすぐに気付けるかもしれない。
これは二人でいられるかどうかのテストのようなもの。私だって同じ間違いはしたくない。ただ……また男の部屋に引越すのね。
しばらく悩んでから、真梨子は意を決して頷く。
「わかったわ、あなたと暮らす」
譲はにっこり微笑むと、真梨子にパンケーキの皿を手渡した。
そりゃそうよ。あれだけ動いたら、昨日のラーメンなんてあっという間に消化してるわ。
食事系のパンケーキの皿に伸ばしかけた手を、譲がさっと制止する。
「食べる前に昨日の話をしてもいいか?」
「……嫌よ、お腹すいたもの。食べてからじゃダメなの?」
「ちゃんと確証が欲しいんだ。安心して美味しい朝食が食べたいだろ?」
「……わかったわ」
「よし。まず今日から真梨子と俺は恋人同士だ。半年経ってもお互いの愛情が変わらなかったら、半年後には籍を入れよう」
きっと譲は、離婚した女性が半年間は再婚が出来ないことを知っているのね。でも結婚に至るまでの交際期間は人それぞれだし、半年が早いとも感じていなかった。
ただ別れた翌日に結婚の約束だなんて、複雑な気持ちもあった。
「……私も確認したいことがあるんだけど……」
「なんだい?」
「譲は……子どもは欲しいと思う?」
「当たり前だろ。真梨子そっくりな女の子なら最高って言ったじゃないか」
「……あれって本気だったの?」
譲が表情を変えずに言ったものだから、真梨子は呆気にとられる。
「なんなら今すぐ始めてもいいけど」
「……今はダメ」
不敵な笑みを浮かべる譲を見て、真梨子はため息をついた。
「……わかったわ。半年後に答えを出す」
「それから、今の家から引越しをするだろ?」
「えぇ、近いうちに部屋を探そうと思ってる」
「それならうちに来ないか? 離婚したばかりでまた男と暮らすのは嫌かもしれないが、お互いを知るには手っ取り早いと思うんだ」
晃とは一緒に暮らしていたとはいえ、ほとんど一人暮らしのようなものだった。離れたくないから一緒に暮らすのとは違い、結婚したから義務的に一緒に暮らすという発想の方が近いかもしれない。
また同じことの繰り返しになるのが怖い。でも一緒にいれば、晃と住み始めた頃に感じた違和感にも、今度はすぐに気付けるかもしれない。
これは二人でいられるかどうかのテストのようなもの。私だって同じ間違いはしたくない。ただ……また男の部屋に引越すのね。
しばらく悩んでから、真梨子は意を決して頷く。
「わかったわ、あなたと暮らす」
譲はにっこり微笑むと、真梨子にパンケーキの皿を手渡した。