貴方の残り香〜君の香りを狂おしいほど求め、恋しく苦しい〜
* * * *
ソファに座ってキスをしながら、ゆっくり押し倒される。彼の体が覆いかぶさると、いつものシトラスの香りに包まれる。
あぁ、またこの香り……頭がクラクラしてくる。
譲が真梨子の中をじっくり解していく。じわじわとやって来る快楽に身を任せ、真梨子はそっと目を閉じた。
「真梨子……」
「ん……?」
「誕生日っていつ?」
「……六月三十日」
「血液型は?」
「……A型。何これ、尋問?」
「そんなところ。こういう時なら話しやすいだろ? じゃあ好きな食べ物は?」
「……ラーメン」
真梨子は言った後にはっとする。ぼんやりしたまま答えていたら、つい本音が漏れてしまった。
慌てて譲の方を向くと、後ろを向いて肩を震わせている。明らかに笑いを堪えているのがわかった。
「まさかラーメンだとは……!」
「う、うるさい! 好きなんだから仕方ないでしょ!」
「ちなみに好きなスープは?」
「……豚骨」
「豚骨⁈ 面白すぎる!」
ツンとそっぽを向いた真梨子の首筋に、譲は舌を這わせていく。真梨子の口から小さな悲鳴が漏れる。
「真梨子ってさ、何故かはわからないけど、なんか中毒性があるんだよ……。終わっても、もっと欲しくなる……」
目と目が合うと、どちらからともなく唇を重ねる。それと共にゆっくりと動きが激しくなる。
「真梨子……! 大学はどこ?」
思わず言いかけて口を手で塞いだ。その瞬間、真梨子の体が跳ね上がる。
乱れる呼吸の中、真梨子は怒ったように口を尖らせる。
「内緒って言ったじゃない……」
「あはは! 引っかかるかなぁと思ったんだけどなぁ、残念」
譲は笑いながら、真梨子の胸に顔を埋めた。真梨子は彼の頭を撫でながら、不思議と胸が温かくなるのを感じた。