貴方の残り香〜君の香りを狂おしいほど求め、恋しく苦しい〜
結婚生活が始まり二年が経っても、真梨子は子どもが出来なかった。結婚前に行った検診では問題はないと言われていたからこそ、自分の状況に納得が出来なかった。
ちゃんと生理周期だって確認してる。基礎体温だった毎日測ってる。排卵日の予測だってしてるし、体を温めるように気をつけてる。なのにどうして出来ないんだろう……。
真梨子は子どもが好きだった。幼稚園の先生や保育士に憧れもあったが、理数系の大学に進んだため、教師の道を選んだのだ。
だから他の何を譲ってもいいから、妊活への協力を晃に求めた。彼も最初は快く引き受けてくれ、一緒に頑張ってくれていた。
しかし時間が経つにつれ真梨子の言葉が重くなったのか、次の排卵日のことを伝えると、大きなため息をついて、
「わかった」
とだけ言うことが続いた。
その言葉は真梨子を大きく傷付けた。私はこんなに頑張ってるのに、どうしてそんな言い方をするの?
それでも子どもがいたら、一人ぼっちの寂しい気持ちを和らげてくれるはず……。
真梨子は帰宅した晃に、
「明日排卵日の予定なの。だから今日……」
そう言いかけるが、彼に睨まれ口を閉ざした。
「……わかったよ。シャワーを浴びたら寝室に行くから、服を脱いで待ってなさい」
「……わかったわ」
晃が浴室に入るのを見届けると、真梨子は落ち込んだ様子で寝室に入った。着ていたものを全て脱ぎ、ドレッサーの椅子の上に置く。
裸のままベッドへ行くと、シーツの冷たさに体が震えた。
ちゃんと生理周期だって確認してる。基礎体温だった毎日測ってる。排卵日の予測だってしてるし、体を温めるように気をつけてる。なのにどうして出来ないんだろう……。
真梨子は子どもが好きだった。幼稚園の先生や保育士に憧れもあったが、理数系の大学に進んだため、教師の道を選んだのだ。
だから他の何を譲ってもいいから、妊活への協力を晃に求めた。彼も最初は快く引き受けてくれ、一緒に頑張ってくれていた。
しかし時間が経つにつれ真梨子の言葉が重くなったのか、次の排卵日のことを伝えると、大きなため息をついて、
「わかった」
とだけ言うことが続いた。
その言葉は真梨子を大きく傷付けた。私はこんなに頑張ってるのに、どうしてそんな言い方をするの?
それでも子どもがいたら、一人ぼっちの寂しい気持ちを和らげてくれるはず……。
真梨子は帰宅した晃に、
「明日排卵日の予定なの。だから今日……」
そう言いかけるが、彼に睨まれ口を閉ざした。
「……わかったよ。シャワーを浴びたら寝室に行くから、服を脱いで待ってなさい」
「……わかったわ」
晃が浴室に入るのを見届けると、真梨子は落ち込んだ様子で寝室に入った。着ていたものを全て脱ぎ、ドレッサーの椅子の上に置く。
裸のままベッドへ行くと、シーツの冷たさに体が震えた。