貴方の残り香〜君の香りを狂おしいほど求め、恋しく苦しい〜
やがてシャワーの音が止まり、しばらくしてから寝室のドアが開いた。その途端、晃のため息が聞こえる。
真梨子は何故か悲しくなり、涙が出そうになるのをグッと堪える。
晃は何も言わずにベッドに入ると、前戯もほとんどないまま真梨子の中へと入り込む。
「早めに済ますから」
その瞬間、真梨子は悟る。あぁ、この人のこの行為に愛はないんだ。もう義務でしかないことがこんなにも辛い。
体を貫く激しい痛みを、唇を噛み締めて堪える。
行為が終わると、晃は大きなため息をついてパジャマを着る。そして何も言わずに布団を被って真梨子に背を向けた。
真梨子は裸のままよろよろと起き上がると、脱いだ服を持って浴室へと歩き出す。脱衣所に服を置くと、浴室内に入ってシャワーを出す。
シャワーを浴びながら、声を押し殺すように泣き続けた。