貴方の残り香〜君の香りを狂おしいほど求め、恋しく苦しい〜
真梨子は二葉を連れてホテルのラウンジに入る。ここは昔譲に連れてきてもらったホテルで、あの別れた日以降は一人で時折バーを訪れては、カクテルを楽しんでいた。
しかし今日はこの子と話をするため。それならバーに行く必要はない。だってあそこは私にとって特別な場所だから。
壁際の角の席に案内されると、二人は座り心地の良さそうな一人掛けのソファにそれぞれ腰を下ろす。
夜ということもあり、多くの人がチェックインを待っていた。
「私は紅茶。あなたは?」
近寄って来た店員にそう伝えてから、二葉を見る。
「ホットコーヒーをお願いします」
彼女は迷いもせずにそう言った。
「……あなたもコーヒーを飲むのね。匠と一緒」
街中で匠と再会したあの日、彼もコーヒーを飲んでいた。まぁその日以降はホテルに真っ直ぐに行ったから知らないけど。
それに……譲もコーヒーが好きだった。
「そうですね。匠さんとはよくカフェ巡りをしたりしますよ」
ふーん……私に対抗しようとしているわけね。生意気な子。
二人の間に、見えない火花が散っていることは確かだった。
しかし今日はこの子と話をするため。それならバーに行く必要はない。だってあそこは私にとって特別な場所だから。
壁際の角の席に案内されると、二人は座り心地の良さそうな一人掛けのソファにそれぞれ腰を下ろす。
夜ということもあり、多くの人がチェックインを待っていた。
「私は紅茶。あなたは?」
近寄って来た店員にそう伝えてから、二葉を見る。
「ホットコーヒーをお願いします」
彼女は迷いもせずにそう言った。
「……あなたもコーヒーを飲むのね。匠と一緒」
街中で匠と再会したあの日、彼もコーヒーを飲んでいた。まぁその日以降はホテルに真っ直ぐに行ったから知らないけど。
それに……譲もコーヒーが好きだった。
「そうですね。匠さんとはよくカフェ巡りをしたりしますよ」
ふーん……私に対抗しようとしているわけね。生意気な子。
二人の間に、見えない火花が散っていることは確かだった。