西園寺先生は紡木さんに触れたい
「段ボール多いわ〜。」
「俺行こうか?」
「おっ、ありがと!」
クラスメイトたちがテキパキと片付けを進める中、紡木はチラチラと廊下に目線を送っていた。
西園寺は隣の4組の副担任だから、もしかしたら廊下を通るかもしれないと考えて、ちょっとした物音がしただけで廊下を見たり、わざわざ用事を作っては廊下に出ていた。
「誰かこの段ボール、ゴミ捨て場に持っててくれない?」
クラスメイトの声に、廊下に出るチャンスだ!と、紡木は「いくいく!」と立候補した。
段ボールを持って4組の前の廊下を通るときに、一生懸命不自然にならない程度に教室を横目で見たが、西園寺らしき人はいないようだった。
もしかして化学準備室にいるのかな。
紡木がそう考えていると、4組の女子生徒が話している声が不意に耳に入った。