西園寺先生は紡木さんに触れたい
段ボールを捨てた後、西園寺から返事が来ているか気になって紡木はポケットから再び携帯を取り出した。
携帯を開くと通知は何一つ来ておらず、トークルームを覗いても既読すらついていなかった。
先生…寝てるのかな…。
会いに行っちゃ、駄目かな。
…いや、駄目だよね。
先生は風邪引いて辛いのに。
私が会いたいからって、お見舞いを口実に会いにいくなんて…
そんな自己中心的な考えじゃ先生に見合うなんて百億年早い!
紡木はそう自分に喝を入れると、メッセージの取り消しをしたところで『普通の人間』という名前が目についた。
普通の人間…。
もうそんなんじゃない…!
紡木はそっと名前を『好きな人』に変更して、自分で恥ずかしくなって早急に携帯をポケットの中に入れた。